Endless Adventure 〜終わらない冒険〜

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−プロローグ−

 邪の洞窟。
 地下50階ともいわれるその洞窟は、遙か昔、とある悪魔が奪いまくった財宝を隠しておくために作られたといわれている。
 それが今から1000年も昔の伝説である。
 しかし、1000年経った今でも、その洞窟の複雑さと広さ、そして危険さによって、未だこの洞窟を制覇した者は居ないという。
 今まで、この奥に眠る財宝を求めて、何百人もの冒険家が最下層を目指したと言われているのに‥‥

 17歳の少女エリカも、そのうちの1人であった。
 彼女は偉大な占い師の娘で、魔力の強い家系の者でもある。そして彼女の先祖の多くが、幾度とこの洞窟に挑戦していた。
 本来、17歳の少女が洞窟に挑むなどということは、危険すぎて咎められかねない行為であった。しかし、彼女には稀に見る魔法の才能があり、そして今では、いつでも入り口に戻ってこれる魔法がひろく知られているため、洞窟で命を落とすことは、滅多に無いことであった。

「‥‥‥ふぅ。」
 ここは、前人未踏の地下42階。ここに来るまで、何日かかっただろうか?
 だいたい2週間。それほどこの迷宮は、複雑で意地悪なものであった。

「‥‥‥‥。」
 エリカは、家を出発してから2週間の間、ほとんど人というものに会っていない。
 最初の方こそ、他の冒険者に会うこともあったが、地下10階を越えたあたりから、そういう事は滅多になくなっていた。
 ちなみに人に会ったのは、地下31階が最後である。
 この洞窟は、奥に行けば行くほど強いモンスターが現れるタイプのもので、たいていの冒険者では歯も立たないのである。
 その点で考えれば、エリカの戦闘力と魔法力は、かなり強力なものであるといえるだろう。

「‥‥‥‥?」
 ふと目の前に、今までの岩壁とは違うものが飛び込んできた。

「‥‥‥湖?」
 それはまぎれもなく、地底湖であった。それはかなり広いものらしく、けっこう遠くまで広がっている。
 しかし逆に、エリカは警戒した。たいてい、このような水場には、モンスターが群がっているものなのである。

「‥‥‥‥。」
 ところが、そこには、生き物の気配すらしなかった。
 もともとこの洞窟は、敵の遭遇率が低く、3時間に1匹遭遇するかどうかという確率だった。
 それは、地下深く進むごとに、さらに低くなっているようにさえ感じる。
「‥‥‥何もいない‥‥‥」
 エリカは湖に近付いて行くが、そこには何の気配も感じられない。
 水の中に何か潜んでいるのでは、とも思ったが、泳ぐ音も聞こえない。
 そしてついに、エリカは湖のすぐ側までたどりついてしまった。

「‥‥‥‥。」
 エリカは水の中を覗き込んでみた。が、そこには魚影すら見えない。
 もしかしたら、これは本当に死の湖で、何もいない所なのかもしれない。


−1−

「‥‥‥ふぅ。」
 とりあえず安心したエリカは、どさっと湖のほとりに腰かける。
 そして、改めて湖の水を調べてみた。

 まず魔法で、毒や呪いの有無を調べる。しかし、何の反応も無かった。
 そして今度は、実際に湖の水をなめてみる。‥‥‥何の味もしない。本当の蒸留水とは、こんな感じなのだろうか?

(今日は、ここら辺で野宿しようかな‥‥)
 エリカはふっとそんな事を考える。今まで岩の茶色や灰色しか見ていなかったエリカにとって、この水の色は、本当に心を落ち着かせるものであったのだ。

 ちなみに、エリカの指には、きっちりと『暗視の指輪』がはめられていて、地上同様に、周りを見ることができる。
 だから、別に夜を恐れる必要はないのだが、さすがに人間、寝ずに行動するわけにはいかない。そして、たまには水辺で睡眠を取りたいというのも、正常な反応であるといえる。

 リラックスできる場所に来たせいか、急にエリカを、疲れが襲ってくる。
 そしてこのとき、久しぶりにエリカに、あの感情が沸き上がってきていた。
 そう。ここ2週間ほど、緊張に紛れて、出てくる余裕さえなかった、あの感情。
 ここは辺りの見通しが良く、もしもモンスターが現れても、すぐに対応できるだろう。
 そして、ここには誰もいない。
「‥‥‥‥!!」
 エリカは無意識のうちに、その右手を優しく、ローブの中に潜らせていった。
 そして、パンティの上から、その陰核を優しく撫でる。
「!!っ」
 ご無沙汰していたエリカの身体は、この久しぶりの感覚に耐えきれず、すぐにびくんと震えてしまう。
 そして、エリカが陰核をくりくりと押さえはじめた途端、エリカに快楽が訪れた。
 まるで、指から流れ込むようなその感覚は、エリカの指を無意識のうちに動かしていた。
 そしてエリカも、その衝動に任せるように、慣れた手つきで陰核を押さえていく。
 いつの間にか、その左手も、エリカの右胸を優しく撫でようとしていた。
 エリカはそれに従って、乳首から生みだされる快感を、身体中で感じていく。
 たちまちその快感はエリカの我慢の限界を超え、エリカの秘園からは、たくさんの愛液がにじみ出てきた。
 愛液はエリカのパンティを濡らすが、今のエリカは、この久しぶりの感覚に酔いしれていて、そんな事には構わない。
 それどころかエリカは、もどかしそうにパンティを降ろしていくと、その指でじかに陰核を押さえようとしている。
「はぁっ、はぁっ‥‥」
 エリカの息は荒くなり、その指の動きもしだいに激しくなっていく。
 乳首を撫でていた左手も、今はローブの中で、こちらももどかしそうにブラを一生懸命外していた。

「ぁ‥‥っ‥‥‥」
 左手がナマ乳首に到達し、右手が陰核をつまみ上げた瞬間、エリカから小さな喘ぎ声が漏れていく。
 ここには誰も居ないし、洞窟だから声が漏れる心配もない。
 たとえ何か居たとしても、モンスターには何の事か分からないだろうし、そんなものはいない。
 だからエリカは、思う存分、その快感に溺れることができた。
「‥‥っ‥‥‥だめ‥‥‥‥いきそう‥‥‥」
 まだあそこに指も入れてないのに‥‥‥でも、久しぶりのエリカは、陰核だけで限界であった。
 なのに、エリカにはまだやりたい事が、まだまだあった。そう、手淫はまだ始まったばかりなのだ。
(だめぇ‥‥‥まだ、まだいきたくないのに‥‥‥‥もうだめ‥‥‥)
 そのとき、エリカは秘園に、指が入っていくような感覚を感じる。
(そう‥‥‥そこ‥‥‥そこをもっといじってぇ‥‥‥‥)
 たちまちエリカに、期待していた以上の波が押し寄せてくる。しかし、エリカの指は、まだ陰核をいじっている。
(あっ、そう‥‥‥左の乳首も‥‥‥いじりたくてたまらなかったの‥‥‥)
 まだいじっていないはずの左の乳首にも、じかに撫でられるような感覚が襲ってくる。しかし、快楽の津波に溺れているエリカは、その矛盾にすら気付いていなかった。
(ああっ‥‥‥もっと奥ぅ‥‥‥奥まで掻き回してぇ‥‥‥‥)
 すでにエリカの指は陰核いじりをやめ、その的確な快感に溺れるのみであった。実際、いまのエリカには、指を動かす力さえ無かったに違いない。
(クリもいいよぅ‥‥‥そう、もっと剥いて‥‥‥そう、じかに‥‥‥‥)
 まるでエリカの心を読んでいるかのように、それはエリカの今いじりたい所を、的確に押さえていた。そしてその快楽は、エリカから理性を完全に奪い取っていた。
(あぁ‥‥‥いい、いいよぅ、もっと、もっと‥‥もっと強くいじってぇ‥‥‥)
 エリカは、自分でいじっていたんだという事も忘れて、それのテクニックに快感を委ねていた。そしてそれは、エリカの要望に応えるように、さらに強く、エリカの秘園を奥まで確実に掻き回していく。
(だめ‥‥いく、いく‥‥もうあとはいくだけ‥‥‥‥)
 性感帯を全部刺激され、エリカはもう、何も不満はなかった。そして、あとはこの快感の波を突き抜けるだけ‥‥‥(ぁぁ‥‥‥いかせてぇぇぇぇぇぇ‥‥‥‥!!‥‥っ)

 エリカの脳が真っ白になり、何も考えられなくなって、エリカはいつの間にか気を失っていた。


−2−

「‥‥‥‥‥?」
 エリカは目を開けようとしていた。しかし、まだ辺りはぼやっとしていて、視力が回復しない。

 ‥‥何があったんだろう?
 まだエリカの記憶もぼやっとしている。ただ1つ言えることは、今、エリカは非常によく眠ったという気分だった。
 無理もない。実際、エリカはあれから、13時間は眠っていたことになるのだ。

 ‥‥‥湖?
 少し、目がはっきりとしてきたらしい。エリカの目の前には、あの湖がぼんやりと映りはじめていた。
(私‥‥‥そうだ、洞窟を探検していたんだっけ? そして‥‥‥)
 景色がだんだん正確になっていく。そうだ、湖みたいな所に着いたんだっけ。それから私は‥‥‥

 脳裏に何かが浮かび、エリカは慌てて自分の服装を見る。ローブは少し乱れていて、そしてもちろん、足にはパンティが絡まっていた。
 ついでに、ブラも胸から外れている。

(そうだ、私、久しぶりに気持ちいいこと、しちゃったんだっけ。)
 それを思い出したエリカは、つい顔を赤らめてしまう。
 そしてエリカは、あらためてあの快感を思い出そうとした。たしかクリをいじって、いきそうになって‥‥‥
 それから、あそこを指でかき回して、クリも剥いてもらって‥‥‥?

‥‥‥‥‥‥‥‥?

 エリカの思考は、しばらく停止した。あのときは気持ち良くて全然考えなかったが、あれは明らかに、自分の指ではなかった。
 そう。ようやくエリカは、あの時の矛盾に気が付いたのだった。

 ‥‥‥誰の指だったの?

 エリカの脳裏に、疑問符が浮かぶ。しかしそれはすぐに、深刻な疑惑へと変わっていった。

(それって、私、誰かに犯されてたってこと!?)

 そうなる。エリカはあまりの気持ちよさに、それにすら気付いていなかったが、言い換えればそれは、エリカは無防備に、秘園を誰かに明け渡し、蹂躙させていたことになる。
(モンスター!?)
 一瞬そんな考えがよぎったが、そんな知力の高いモンスターは、そんなに数多くないはず。それに、仮にモンスターだとしたら、今エリカが生きているはずがない。
(それにしても、あのテクは‥‥‥)
 エリカは、記憶にあるモンスターを順番に探っていく。でも、そんなに器用で、人間の快楽のツボを知っているようなモンスターは、一匹も挙がらない。しかし、ちょっと待った。エリカの脳裏に、1つだけとんでもないモンスターの名前が浮かんでくる。
 エリカはまだ見たことがないが、たしかにあれなら器用で、頭も良く、そして快楽にも精通していそうな‥‥‥

「当たり。」

 どこからともなく、エリカにそんな声が聞こえてくる。
 いや、これは声というよりは、心に直接話しかけてくるテレパシーのようだ。
「まさか‥‥‥本当に?」
 テレパシーを使えるモンスターなんか、奴以外にありえない。

「ふふ。ようこそ地下42階へ。自己紹介がまだだが、あらかた予想はついてるんだろうな。」
 そいつは、エリカの心を読んでいるかのように、話を続けてくる。
(グレーターデーモン?)
 もはやそれ以外、ありえなかった。しかし、それと知ったところで、どうすれば良いのだろうか?
「半分は正解だな。しかし、私はただの大悪魔じゃないぞ。」
 倒さなければならない。エリカは本能的にそう悟っていた。しかし、相手の姿が見えないうえに、どこに居るかも分からないのだ。
「おや、私を倒そうというのかね? 弱冠17歳の少女が。」
 ‥‥‥エリカはその声を聞いて、焦る。明らかにそれは挑発だ。でも、どこに居るかも分からない相手に向かって、魔法は唱えられない。
 いや、それよりもエリカは、さらに大変なことに気が付いた。
(呪文が思い浮かばない!?)
 何も。初歩的なファイアの呪文さえ、エリカは思い出すことができなかった。
「無駄な抵抗はやめた方が良いんじゃないかね?」
 その声は、さらにエリカを憔悴させる。しかし、呪文を思い出せない以上、エリカにとれる対抗手段は、全然なかった。
 エリカは剣術も巧みだが、武器の効く相手だとも思わない。
「まあ、落ち着こうじゃないか。でないと呪文も思い出せないぞ?」
 エリカはかなりの屈辱を感じた。倒すべき敵に助言されているのである。それ以上の侮辱があるだろうか?
「そもそも私を倒そうというのが間違っているんだよ。現に君は、私に陵辱された身じゃないのかね?」
(‥‥‥‥。)
 エリカは何も答えられなかった。あのときエリカは、快楽にまみれて、この悪魔に身を蹂躙されている事にすら気が付かなかったのだ。
「地下42階に来たことには敬意を表するが、君もまだまだだな。」
 その声は、エリカに容赦のない言葉を放つ。それはすでに、勝者の台詞だ。
(だめ、このままじゃ、負けちゃう‥‥)
 これは悪魔お得意の精神攻撃というやつだ。とにかく、体勢を立て直さないと‥‥‥
「おやおや、結構頑張るんだね。」
(だめ‥‥考えてることが全部、つつぬけになってる‥‥‥)
 しかし、こんな所で敗退するわけにはいかない。エリカはなんとか、荷物の中の魔術書を取り出そうとした。
「無駄な抵抗を‥‥‥」
 なんだか、身体かとても重い。まるで、何かが肩に乗っかっているような、そんな感じ‥‥‥‥!?
 いや、まさにエリカの肩には、黒い悪魔の手がのしかかっていた。その手は地面から生え、エリカの肩にのしかかっている‥‥‥
「いやっ!」
 エリカは必死でそれを振り払おうとするが、エリカの手はそれに触れることができない。すり抜けてしまう。
(ならば、なんとか荷物袋の所に行くのみ!)
 エリカは考えを変え、かまわず荷物袋の所へと歩いていく。しかし、その足取りも重い。見てみると、さらに2本の手が地面から生えていて、それがエリカの両足をつかんでいた。
(なによ、これ!?)
 必死に足で振り払おうとするが、こちらも全然離れない。エリカは仕方なく、その重い足取りで、荷物袋へと歩いていく。
「‥‥なかなかしぶとい奴だな。しかし、これはどうかな?」
 そんな声が聞こえてきたかと思うと、たちまちエリカに、身体が熱くなるような感覚が出てくる。
(っ‥‥‥だ、だめ‥‥‥)
 いつの間にか、エリカの乳首と陰核は固くなり、それを慰めたいという欲望を、エリカに投げかける。
(たまらない‥‥‥あぁ、こりこりしたい‥‥‥)
 エリカは必死でその衝動に耐える。しかし、エリカの右手は、いまにも乳首をつまみそうな勢いだ。
(だめ!!)
 エリカは左手で右手を叩き、なんとか理性を取り戻そうとする。
 しかし、エリカがいくら我慢しても、その衝動が消えるわけではなかった。
「そんなに自分でするのが嫌か。ならば、私がしてあげようか。」
 エリカの真下から、黒い触手のようなものが伸びてくる。それは難なく、衝動に耐えているエリカの秘部に到着した。

‥‥‥つんつん

 エリカに容赦なく、気持ち良いという感覚がノックしてくる。
 そして触手は、そんなエリカの陰核を、望み通りに強く撫で、エリカに快楽を与えていた。
(だめ‥‥‥気持ちいい‥‥‥歩けないよぅ‥‥‥)
 しかし、エリカはまだ荷物袋をあきらめていなかった。そう、あの中にはたしか、聖の魔術書が入れてあったはず。

‥‥‥さわさわ

 エリカの左胸に、撫でられるような感覚がする。いや、たしかにエリカの左胸は、黒い手によって撫でられていた。
 その指は難なくエリカの乳首をぐりぐりする。
(もう少し、もう少しで荷物袋に手が届く‥‥‥)
 堕ちてしまいたくなるほどの快楽を振り切り、エリカは必死で右手を、荷物袋に伸ばしていく。
 しかし、すでにエリカの秘園には、もう1本の触手が迫っていた。

‥‥‥ズズズ

 パンティの隙間から、難なく触手がエリカに侵入してくる。そしてエリカは、その気持ち良さに、足を止めずにはいられなかった。
(だめぇ‥‥‥入ってくる‥‥‥‥やめて、奥まで来ないで‥‥‥)
「昨日は奥まで掻き回して欲しいとか言ってなかったかな?」
(それとこれとは‥‥‥だめ‥‥‥足から力が、抜けていく‥‥‥)
 容赦なく触手は、エリカを奥まで突き上げ、周りの膣壁をぐるぐるとかき回す。
(あとちょっとで手が‥‥‥届いた‥‥‥)
 エリカは最後の力を振り絞って、なんとか荷物袋に到達する。あとは袋の結び目をほどいて、中の魔術書を読み上げるだけ。
 立っていられなくなるほどの気持ちよさに耐えながら、エリカはたどたどしい手つきで、荷物袋の蝶結びをほどき始める。
 しかしその間にも、エリカの膣は触手に蹂躙され、いまにも失神しそうであった。
(だめ‥‥‥気を持つんだ、エリカ‥‥‥頑張れ‥‥‥)
 なんとか蝶結びがほどけ、荷物袋の口が開く。
 そしてエリカは、薄れそうな意識の中で、中の魔術書を探そうとした。

(‥‥‥‥‥‥?)

 うそ? という感情がエリカを支配する。無理もない。荷物袋の中に入っていたのは、大量の石ころであった。
「君は、私の前で13時間も気を失っていたんだよ? 中身を石に変えることぐらい、わけもない事さ。」
 エリカは、その現実に耐えきれず、ついにうつ伏せに倒れてしまった。
「君は、たかが石ころのために、私の触手に蹂躙され、本当なら愉しみたくてたまらない快楽を振りほどき、必死で石ころの方に歩いていったことになるね?」
 その余計な状況説明が、さらにエリカにダメージを与える。
「だから無駄な抵抗はやめろと言ったんだ。君にはもう、対抗手段は残されていないんだよ?」
(‥‥‥‥‥。)
 そう。何もなかった。呪文は思い出せず、頼みの魔術書は石にされ、そしてこの身体は、この悪魔に蹂躙されて、立つこともできない。
 そして今、エリカはその精神まで、苛められている。
「ちなみに君が頼みにしていた魔術書だが、私に効く魔法は書かれていなかったよ。」
 さらに絶望。
 そして悪魔は、絶望の果てに堕とされたエリカに、ぼそっとつぶやいた。
「勝ったな。」
 目の前の少女は、もはやただの少女であった。
 たくさんの魔法を操り、地下42階まで来た偉大な冒険者の面影は、もはや無い。
 そして‥‥
「まぁ、せっかく気持ち良くなったんだ。イってもらうか。」
 薄れゆく意識の中で、悪魔の声が木霊する。
 その瞬間、エリカに何度も掻き回されるような感覚が芽生えた。

 

             ☆     ☆     ☆

 

「呆気なく倒れてしまったが、まぁ、200年ぶりに私を楽しませてくれた事に関しては、素直に感謝せねばならないな。」
 この洞窟の創設者は、もはや意識も朦朧としているエリカに声をかけると、呪文を唱え始めた。
「しかし、まだまだ終わりではないぞ。まぁ、200年振りのカモだ。ゆっくり何度も味わってやるさ。」
 悪魔がそう呟いた瞬間、エリカの姿は黒い霧に包まれ、そして悪魔の目の前から消えていった。


−エピローグ:44回目の冒険−

「‥‥‥ふぅ。」
 ここは、前人未踏の地下42階。ここに来るまで、何日かかっただろうか?
 だいたい2週間。それほどこの迷宮は、複雑で意地悪なものであった。

「‥‥‥湖?」
 ふと目の前に、今までの岩壁とは違うものが飛び込んできた。
 それはまぎれもなく、地底湖であった。それはかなり広いものらしく、けっこう遠くまで広がっている‥‥‥

 

 そしてエリカは、ここに何があるのかも忘れたまま、再び「湖の罠」へと歩いていく。
 飲んだ者は例外なく発情するという、その湖へ。

「そろそろ今までの記憶を戻してやっても良いかな。そして、同じことを44回も繰り返していた絶望はどんなものか、とくと味わうがいいさ。」
 1000年も生きる大悪魔の楽しみは、まだ始まったばかりであった。

 

END


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